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リレー小説第一回

 天橋硝子でございます。

 リレー小説第一回の締め切りを自ら今日に設定しましたので、リレーをスタートしてみようと思います。リレー小説なるものは初めてなのでどんなものができるのやらとても楽しみです。

 話はそんなに進めてない(2シーンのみ)ので後の人たち、がんばってください。主人公の名前も出てきてないし。SFにもファンタジーにも恋愛にも(?)飛ばせるくらいに自由な設定ではないかと。短いですかね? 2338字だそうですが。改行をすべて無視した場合、ライトノベル換算だと4ページくらい。改行も考えると原稿用紙8枚だそうです。でもこのまま自分ひとりで話を進めていくのも違うと思いますしね(←言い訳)。

 なんだか登場人物についてとかいろいろ云われそうですがそこは華麗にスルー。


 で、参加者はまだまだ募集中です(って私が云っていいのか?)。個人的にはまた回ってくる前に間の人が増えていろいろ変わっているとおもしろそうでいいな、と。
 彼女がずぶぬれでやってきたのは、もう春も終わりを告げようかというころだった。やってきた、という表現は正しくはないだろう。私が彼女を拾ってきたのだ。

 雨の中、駅の裏道のようなところを歩いていた。灰色に覆われた世界は生気に乏しく、ざあざあとアスファルトを打つ雨音だけが鼓膜に響く。コートは冷たさの侵入を許したのか容赦なく体温を奪っていく。
 学校でしてしまった失敗のこと、友人から持ちかけられた相談のこと、これからしなければならない幾つものこと。とりとめのない思考を流れるままに歩き続ける。傘の先から滴り落ちる雫はまだしも、折り畳み傘を巻きとめる紐が水滴をまき散らすのは気に障った。だからといってその部分を後ろに回したら回したで、傘の視界に入るところが昔折れ曲がった箇所なのだ。それはそれで、嫌。
そんな感じのことが頭の中にあった。
 降りしきる雨とその伴う霧とはある種、幻想的な雰囲気を醸し出していた。水煙に視界を塞がれ、まるで霧の迷宮に私だけが迷い込んでしまったみたいに。頭では違うとわかっていても、重い雨は現実と私とを切り離すようにそこにある。
 下校時刻を少し過ぎたあたりから強くなってきた雨足は一向に弱まる様子を見せない。雨の予報があったので傘を持ってきた生徒は多かったが、置き傘もない人もいただろう。
 と。
 誰かに見られている。そんな気がした。勘は鋭いほうではないけれど、うなじの毛が逆立つ様子でなんとなくわかる。
 前に続くのは狭く雑多にものが並んでいるアスファルトの道。人影はない。むしろ、犬も猫も、目に見える生き物はなにもいなかった。気のせいだろうか。念のため、と立ち止まって背後を確かめてみるも、だれもいない。
 そう思った。


「あなたは、誰?」
 突然現れた少女に思わず問うてしまった。
「…………」
 もやもやした気持ちのまま歩き出そうとして、突然に見つけた小柄な人影。
 少女は真っ黒な瞳で私を捉えたままじっとしている。ぼぅ、と突っ立っている姿は人形と見間違えるほど。動かず、生気に乏しい。
 傘も持たずレインコートも着ずにいるので、珍しい形の帽子や髪の毛、それに若干大きめの服は水を含んで肌にへばりついている。頬に貼りつく髪が少女の人間らしさを一層減じているようだった。
「…………」
 少女も私も何も口にせず、私たちはただ互いを見つめ合う。
 彼女は誰なのか。なぜここにいるのか。どうしてこんな状態なのか。頭の中では疑問が泡と出て、弾ける。
 無言の空白のすえ、私は小さな傘に彼女を入れた。距離が縮まったにも関わらず、少女の視線は私の眼から逸らされていない。
 少女に向かって高い位置から話しかけたことに九に気づき、私は腰をかがめた。
「どうしたの?」
「…………」
 じぃ、と私を見つめる双眸は瞬きもしない。つぶらな瞳。やわらかな曲線を描く頬の輪郭。隙なく整っているようでも幼さばかりが強調されている。
「迷子? 誰かを待ってるの?」
 私の言葉も虚しく、少女は何の反応も見せてくれない。
「傘ないの? 風邪ひくよ?」
そして唐突に。
 倒れた。
 体がぐらりと傾いだかと思うとその体は私の腕の中にあった。小柄な体からは力が完全に抜けていて、弛緩状態から回復しそうにない。さっきまで黒目がちな瞳が開いていたのに瞼は自然に閉じられている。
 気を失った……?
 とっさに無意識のうちに受け止めたので傘はとうに私の手を離れていて、かろうじて脇のあたりに引っ掛かっているだけだ。
 どうしよう。このままでいるわけにもいかないし……。
 少女を腕(かいな)に抱いたまま雨の中しゃがみこんでいる図、は確かに面白くはない想像だった。
 この場に止まったまま考え込むのは事態の好転には続かないような気がした。なら取るべき行動はひとつ。場所の移動だ。幸いにもここは私の今の家に近いのだから。



 バスタオルを広げた上に少女を寝かせた私は、そこでどうしようかと途方に暮れた。
 背負って連れてきたのはいいのだけれど、私はこのあとどうするべきなんだろう?
 本当なら風邪をひかないようにと体を拭いてあげるのが一番いいのだろうけど、初対面の人間が勝手にそんなことをしてもいいんだろうか? だからといって目覚めるまでこのままにしておくのもいいはずがない。
 心の中で一言謝ると、私は観念して少女の襟のボタンに手をやった。
「…………」
 冷たい肌に触れると、微かに反応があった。薄い唇から呻きが漏れる。指先がふるえ、また止まり、今度はうっすらと目を開いた。
 焦点が合わずにぼうっとしていたのが、私を見つけて動かなくなる。
「気がついた? あなた、私の目の前で倒れたの覚えてる?」
 少しの間があって、少女は微かに頷いた。
「あのまま立ち去るわけにいかなくってさ、勝手に私のうちに運んじゃった。ごめんね」
 その言葉にも黙って頭を縦に振り、ゆるゆると手を自らの胸に当てる。
「服を脱がせて風邪を引かないようにするつもりだったの。悪いなとは思ったんだけど」
 無断で脱がそうとしていたことに対して謝ると、今度は首を横に振った。。
「起き上がれる? それならお風呂に入ったほうがいいんじゃないかな?」
 シャワーでもいいけど、と付け足しても返事がない。
 ああ、そうだった。
この子、会ってから一言も口をきいていないんじゃないか。単に無口なだけなのか私を警戒しているのか。
あれこれ考えているうちに少女は身を起こし、ソファーの上に座り込む形になる。
「……ありがとう」
 呟きが耳に入った。
 そう云ったのは無表情を崩さずにいる少女としか考えられなかった。
「たすかった」
 私も今度は口の動きがちゃんと見えた。血の気の失せた顔には何の感情も読み取れないが、彼女が言ったのに間違いない。
 なんだ。話せたじゃない。
「じゃあ、シャワー浴びる? 着替えは心配しなくてもいいよ。なにか用意しておくから」
 こくり、と頷く少女を脱衣所に案内して、私はいったん自室に戻った。
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 あ、あれ……? 「さらに詳しく設定する」で書いたつもりだったけど最後の最後でミスったか……?

 この先よろしくおねがいしま~す!

 一回目お疲れ様です。うは。どんな話になるかわくわくしております。



 続きを読む設定は私が直しておきますわーわー。

 別に直さなくても大丈夫だった。

 多分コメント書くときだけ全部出るんだよ、追記部分も。

すみません、第二回で矛盾が生じてしまったため、こちらを直させてもらいました。秋→春としただけですが。すでに書き始めている三回目もその方が都合がいいようなので。ご了承下さい。
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