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しゅにんしゅーにん


 さっきせっかく書いたのが消えました。

 こんにちは。天橋硝子です。

 今年一年間、駒場主任を務めさせていただきます(正式な儀式はしてないみたいですけど)。よろしくお願いします。
 自分の目標は「駒場を居心地の良いところにすること」。来て楽しいのが一番ですからね。
 そのためにもそれ以外のためにも皆さんの力を借りることが多々あると思います。ご協力よろしくお願いします。

 自分以外の役職一覧でも載せてみようかと思ったけど全員分は把握してない罠。



 さて、話は変わってリレー小説。長らく止めてしまいまして、お待たせしました(待ってない?)。
 話が膨らんできているのでちょっとそれに反する形で、新しい要素を加えないことをひとつの目標に書いてみました。竜宮さんと北条さんが出ているのは悪乗り以外の何物でもありませんが……。


 ではでは。
 今日されたことは比較的ましなことばかりだった。上履きや机の中に画鋲を入れられたことは軽い部類に入る。昨日あんな失敗をしでかしたあとだからどんな仕返しがあるか怖かった。でもそれは杞憂に終わったみたいだ。今日は直接的な手段に訴える気はないらしい。
 よかった。
 心から安心の吐息が漏れる。
 五限の退屈な古典の授業から解放された教室は活気に満ちている。これからどこそこの店に寄り道しようだとかなんとか。鞄に荷物を詰めながら立ち上がり急いで帰ろうとする人もいればもっと友人と話していたいと教室に居残る人、掃除当番で残らなければならない人や部活に向かう人もいる。私に遊びの声がかかることなんてないのだけれど、そういうクラスの雰囲気は好きだ。いつかは入江さんを誘ってでも遊びに行きたい。話していたい。
 でもそれもこれからの私の対応によってどうなるかわからない。佐伯くんが入江さんと付き合い始めたとして。もし。もし付き合い始めたとしたら私はどうなるんだろう? それでも笑って友達でいられるんだろうか?
「前原さん」
 思考を遮ったのは嫌な声。古手さんだ。振り返りたくない。反応したくない。それでも答えないわけにいかない。
「なんですか」
 極力感情を表に出さないようにと向き直った。機械的に荷物を鞄に詰めていた手も止める。
 そこにいたのは古手さん、園崎さん、それに竜宮さんと北条さん。いつも私に酷いことをするグループの人たちだ。前の二人がいつも中心になっていて、後の二人はコバンザメ。グループにはほかにも何人かいるけどこの四人がやってくるのがほどんど。クラスの他の人たちは遠巻きに見ているだけで私に攻撃しないけれど助けてもくれない。マンガにでも出てくるような正義感あふれる委員長もいやしない。それが私の周りの現実。
「一緒に帰らない?」
 気味の悪い薄ら笑いを浮かべる古手さん。同時に竜宮さんと北条さんとが私の左右に回り込む。
 ここで「いいえ」と答えられる強さを持っていたら、とどんなに願ったことか。それでも、私に選択肢はなかった。
「……はい」
 両脇の逃げ場を押さえられた私は、従うしかなかった。


 一緒に帰るなんて言葉は嘘っぱち。昨日の腹いせに制裁されることは目に見えていた。
 連れてこられたのは学校の裏側、三條公園。ここは校舎から見てグラウンドの反対側に位置している。公園敷地内に植わっている木々のせいで学校の中からは様子がうかがえず、グラウンドの端まで歩いてくる人にしか知られない場所だ。
 正式には公園ではなくて緑地。ブランコや滑り台などの遊具はない、何ということのない散歩道。途中に池があって、鯉が泳いでいるのだから誰かが世話をしているんだろう。通学路に使っているという人も聞いたことがないし、どことなく陰気で湿っぽい。
 私刑(リンチ)みたいに大っぴらな行動をとる四人じゃない。これまでやられたことだって犯人は九分九厘わかっている。しかし証拠がないという理由で処罰されたことがないのだ。もちろん、私は先生に訴えるなんてことはしていない。無駄だからだ。善意の、普段は傍観しているクラスメイトが通報してくれるだけ。
抜け目のない人たちだから、殴る、蹴るということはたとえ学校外でもないだろう。持ち物を壊されるのも私の目が届かないところでだし、昨日のように問題が起こった後に困る私を嘲笑しているだけなのだ。だから、逆に怖い。学校外に連れ出された経験はなかったから、何をされるかわからない。
「前原さんって何か部活に入ってたっけ?」
 竜宮さんが訊いてくる。答えを知った上で訊いてくるんだから裏がある。そう確信した。
「いえ……まだ何も」
 入学して一か月。いくつかの部活は見学しに行ったけれど、結局どこにも入部届を出さなかった。サッカー部のマネージャーになって佐伯くんの近くにいたいと一瞬思ったけれど、そんな妄想は頭を振って消し去ったのだ。
「じゃあいつも家に帰ってなにしてるわけ?」
 家に帰って……。マリスのことがちらりと頭に浮かんだけれど、そういうことは訊かれていないし、答えるのもまずい。
「別に特別なにかをしているというわけじゃ……」
「じゃあさ、時々一緒に帰らない? 時間あるんでしょ?」
 嵌められた。
ここで断れば絶対にねちねち追及してくる。実は用事が、なんて言ったら「さっき嘘ついたよね?」とか凄まれて負けることになる。だからと言って頷くなんてもってのほかだ。これ以上に彼女らと同じ空気を吸う時間を増やしたくない。前門の虎、後門の狼なんてのはまさに今の私。必死で策を考え、実行に移した。
「あ、あの」
 躓いたふりをして右に立つ園崎さんに倒れかかる。右腕に掴みかかられた園崎さんは太い腕で私を薙ぎ払う。吹き飛ばされた私は地面に倒れこむ……はずだった。
 受け身を取ろうとした私が一瞬だけ下方に見たもの。それは固い地面ではなく、水面。
 冷たい水が全身を覆った。無我夢中で水底を探し、体勢を立て直す。
 気づいたときには池の中に四つん這いになっていた。
 体中から滴る雫。髪も顔も制服も泥水に浸かり、濡れていないところなんてどこにもなかった。
「あらあら前原さん、鯉の邪魔しちゃダメじゃない。びっくりして逃げちゃったよ」
「きゃははははは、北条さん上手い! 恋の邪魔だなんて!」
「勝手に掴みかかってくるから自業自得よねぇ」
「アンタにはそんな恰好がお似合いだね!」
 古手さんたちが私を見下ろして言い放ち、四人は背を向けて大声で笑いながら遠ざかり、見えなくなった。私はそれを見送ることしかできなかった。
 失策だった。
 無様に転ぶ姿を見れば、彼女らの注意がそっちに向いて一緒の帰宅を強要するのを忘れるだろうと思った。けれども、思っていた以上に策の犠牲が大きくなってしまった。
 悔しい。何もできない自分に腹が立つ。どうして言い返せないのか。どうして「嫌」と言えないのか。また明日会ったら同じようなことをされるだろう。それでも私は抵抗できないんだろう。
 やり返せればいいのに。糾弾できるほどの力があればいいのに。
 思考が同じ場所を巡り続け、涙が出てきた。
 苛められてはじめてから初めて、私は泣いた。
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就任おめでとう。駒場をよろしくお願いします。

リレー小説、「恋の邪魔」に深い意味があるのかだけでも教えてもらえると助かるかな……。

入江さん腹黒でもいいけどあの短い記述に黒さが漂ってた?



深い意味はありません。書いてたら自然に鯉のほうが出てきたので使ってみただけです。
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